執筆・監修
君塚幸子(統括院長・矯正歯科医)日本口腔外科学会認定医・指導医 / 日本顎変形症学会認定医
執筆者
富田大介
査読・監修
君塚幸子(歯科医師)日本口腔外科学会認定医・指導医 / 日本顎変形症学会認定医
参考文献
- 1. Sioud Y, et al. BMC Med Educ. 2025;25(1):1177. DOI: 10.1186/s12909-025-07215-6
- 2. Jiang Y, et al. Front Med (Lausanne). 2024;11:1443924. DOI: 10.3389/fmed.2024.1443924
- 3. Seifert LB, et al. Maxillofac Plast Reconstr Surg. 2025;47:11. DOI: 10.1186/s40902-025-00445-4
- 4. Smoud Y, et al. BMC Med Educ. 2025;25(1):1177.
- 5. 日本顎変形症学会. 公式サイト・学術情報
- 6. 日本口腔外科学会. 公式サイト・学術情報
ミライズ顎変形症クリニックは、第36回日本顎変形症学会総会・学術大会(2026年6月25日・アクロス福岡)で、CT・口腔内スキャン・三次元顔面スキャンを統合した3Dクローンモデル技術の開発と臨床教育への応用について口演発表を行いました。
発表の概要
ミライズ顎変形症クリニックでは、第36回日本顎変形症学会総会・学術大会において「顎変形症治療を目的とした3Dクローン技術の開発と臨床教育への応用」について口演発表を行いました。


| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表学会 | 第36回日本顎変形症学会総会・学術大会 |
| 発表日 | 2026年6月25日(木) |
| 会場 | アクロス福岡 |
| 演題番号 | O-2-4 |
| テーマ | 顎変形症治療を目的とした3Dクローンモデル技術の開発と臨床教育への応用 |
顎変形症治療は、歯列矯正だけで完結する治療ではありません。上顎・下顎の骨格的位置、咬合、顔貌、気道、軟組織、顎運動などを総合的に捉え、矯正歯科、口腔外科、形成外科などが連携して治療を進める高度な領域です。だからこそ、医療者側が解剖と手技を立体的に理解し、繰り返し学べる教育環境が重要になります。

発表演題と著者
顎変形症治療を目的とした3Dクローン技術の開発と臨床教育への応用 Development of a 3D Clone Model for Orthognathic Surgery and Its Application in Clinical Education
著者は、富田大介、君塚幸子、富田由美子、大村進です。所属は、ミライズ矯正歯科南青山、ミライズクリニック南青山、ミライズオーラルヘルス南青山、ミライズオーラルヘルス銀座、ミライズクリニック銀座、ミライズ総合歯科南青山、北里大学形成外科美容外科学です。


顎変形症治療における教育上の課題
上下顎移動術などの顎矯正手術では、骨格の移動だけでなく、軟組織を含めた顎顔面構造の立体的理解が治療成績や安全性に大きく関わります。従来の教育環境では、CT画像や簡易模型を用いた学習が中心になりやすく、実臨床に近い触覚や奥行き、組織の層構造を伴った教育には限界がありました。

また、動物や献体を用いた教育には、倫理的・社会的な制約があります。医療者が患者さんの前に立つ前に、どれだけ実臨床に近い環境で学べるか。これは顎変形症治療の質を高めるうえで避けて通れないテーマです。
3Dクローンモデルとは何か
本研究でいう3Dクローンモデルとは、生命のクローンを作る技術ではありません。CT、口腔内スキャン、三次元顔面スキャンなどのデータを統合し、骨、歯列、皮膚、粘膜などを含む顎顔面構造を立体的に再現する教育・シミュレーション用モデルです。 今回のプロトタイプでは、倫理的配慮から演者自身の顔面データを使用しました。高精度マルチマテリアル対応のフルカラー3Dプリンターを用い、骨・歯牙・皮膚・粘膜など、それぞれの組織の硬度や質感を考慮した造形を行いました。
顎変形症・外科矯正のご相談はミライズへ
日本顎変形症学会認定医が在籍。Surgery First・Early Surgery・自費外科矯正に対応。
今回得られた知見
開発した3Dクローンモデルにより、骨、歯列、軟組織の位置関係を、立体的かつ触覚的に把握できる可能性が示されました。フルカラー・マルチマテリアル表現により、組織ごとの識別性も高まりました。

一方で、現時点では術前モデルサージェリーや実際の手術シミュレーションへ直接使用する段階ではありません。本発表は、顎変形症治療における臨床教育を主眼とした初期段階の報告です。将来的には、医療者が反復的に手技を検証できる患者代替モデルとして発展する可能性があります。
民間クリニックとして発表する意義
今回の口演では、多くの先生方に発表を聞いていただきました。私が確認した範囲では、民間クリニック所属の演者による発表は限られており、大学病院・総合病院などの医療・教育機関からの発表が中心でした。 顎変形症治療の発展には、大学病院や総合病院だけでなく、日々患者さんと向き合う民間クリニック側からの臨床的視点も必要です。今回の発表は、臨床現場から教育技術を考え、治療の質を底上げするための取り組みとして位置づけています。
今後の開発方針
今後は、単なる解剖モデルにとどまらず、体温、出血反応、顎運動といった生体反応の再現、さらにAIによる手技解析や個別フィードバックを組み合わせることで、より実臨床に近い教育・シミュレーション環境の構築を目指します。

顎変形症治療を検討している方へ
顎変形症の治療では、見た目だけではなく、噛み合わせ、発音、咀嚼、顎関節、顔貌のバランス、長期安定性などを総合的に評価します。治療方針は、症状、骨格の状態、歯列、生活背景、手術適応の有無によって異なります。 ミライズ顎変形症クリニックでは、顎変形症治療に関わる専門的な知見をもとに、診断、治療計画、連携医療機関との協力体制、患者さんへの説明を大切にしています。研究や学会発表を通じて得た知見も、日々の臨床に還元できるよう取り組んでいます。
よくある質問
Q. 3Dクローンモデルは患者ごとに作るものですか? A. 今回は初期開発段階の報告であり、倫理的配慮から演者自身のデータを用いたプロトタイプです。現時点で全ての患者さんに個別作製して臨床使用する段階ではありません。
Q. 顎変形症治療に3D技術はどのように関係しますか? A. 顎変形症治療では、骨格、歯列、軟組織を立体的に理解することが重要です。3D技術は、診断、説明、教育、シミュレーションの質を高める可能性があります。
Q. 顎変形症かどうかはどのように判断しますか? A. 顎の位置、噛み合わせ、顔貌、セファロ分析、CTなどの検査を総合して判断します。自己判断ではなく、専門的な診査・診断が必要です。
監修者情報
公開する院内データは、対象・集計期間・定義・出典を確認したうえで掲載します。治療の見通しと主なリスクは、診察・検査の結果に基づいて個別にご説明します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医学的アドバイスではありません。 治療の適応や詳細については、必ず専門医にご相談ください。 治療期間・費用・リスク・副作用は症例により異なります。
この記事の査読者

君塚 幸子
口腔外科医 / 日本顎変形症学会認定医・指導医
関連記事
この記事を読んだ方におすすめの記事
顎変形症の矯正装置が目立つ|見た目の悩みと対処法・目立たない装置の選択肢
顎変形症の治療では、症状、骨格、咬合、全身状態、治療方法によって適応・費用・通院・回復の見通しが異なります。個別の治療計画は診察と精密検査の結果に基づいてご説明します。
続きを読む顎変形症の手術で仕事を休む期間は?休職届・傷病手当金の活用法
顎変形症の手術に伴う休職期間の目安や、傷病手当金の申請方法、休職届の書き方を詳しく解説します。社会人の方が安心して治療に専念できるよう、職種別の復帰時期やテレワークの活用法も紹介。
続きを読む顎変形症の手術後いつから運動できる?スポーツ復帰タイムライン
顎変形症の手術(骨切り術)後、いつから運動やスポーツ、筋トレを再開できるのか。術後の回復段階に応じたスポーツ復帰のタイムラインと注意点を、専門医がエビデンスに基づいて詳しく解説します。
続きを読む顎変形症の手術前後の栄養管理|回復を早める食事戦略
顎変形症の手術前後の栄養管理について解説。術前の栄養準備から術後の流動食期間、固形食への移行まで、回復を早める栄養素と具体的なメニュー例を提供します。
続きを読む


