Risks & Complications

リスク・合併症について

顎変形症の骨切り手術には、すべての外科手術と同様にリスク・合併症が存在します。事前に十分にご理解いただいた上で治療をご検討ください。

重要な前提

このページに記載するリスク・合併症は、一般的な顎変形症の骨切り手術に関する医学的情報です。個々の症例によってリスクの程度は異なります。担当医から十分な説明を受け、疑問点を解消した上で治療を決定してください。

当院のリスク軽減対策

Five-step Screening

全身状態・麻酔リスク・骨格評価・心理評価・インフォームドコンセントの5段階スクリーニングを実施。すべてをクリアした症例のみ手術を行います。

3D 仮想手術計画

CT データをもとに術前に 3D シミュレーションを実施。骨の移動量・方向を精密に計算し、神経・血管への侵襲を最小化します。

超音波骨切削器具

Sonopet iQ(超音波骨切削器具)を使用。従来のバーに比べ、神経・血管への侵襲を最小化し、術後の腫脹軽減と早期回復に寄与します。

低血圧麻酔

術中の出血量を抑えるため、低血圧麻酔を採用。輸血リスクの低減と術後回復の促進に貢献します。

麻酔科との連携

麻酔科専門医との連携のもと、安全な麻酔管理を実施。術前の全身評価と麻酔計画を徹底します。

大学病院バックアップ

緊急時には大学病院への搬送・対応体制を整えています。万が一の際も迅速に対応できる体制を構築しています。

公開する院内データは、対象・集計期間・定義・出典を確認したうえで掲載します。治療の見通しと主なリスクは、診察・検査の結果に基づいて個別にご説明します。

リスク・合併症一覧

以下は顎変形症の骨切り手術に関連する主なリスク・合併症です。頻度は一般的な文献に基づく目安であり、個々の症例により異なります。

神経・感覚

リスク・合併症詳細頻度の目安発生時期
下唇・顎の知覚鈍麻SSRO・IVRO 後に下歯槽神経の影響で生じる。多くは一時的だが稀に永続。比較的多い術直後〜数ヶ月
上唇・歯肉の知覚鈍麻Le Fort I 型後に上顎神経の影響で生じる。多くは一時的。比較的多い術直後〜数ヶ月
顎先の知覚鈍麻オトガイ形成術後にオトガイ神経の影響で生じる。比較的多い術直後〜数ヶ月

出血・循環

リスク・合併症詳細頻度の目安発生時期
術中出血骨切り手術では一定量の出血が生じる。低血圧麻酔で最小化。必発(程度は様々)術中
術後血腫術後に血液が貯留する場合がある。処置が必要な場合あり。まれ術後数日以内
輸血大量出血時に輸血が必要になる場合がある。非常にまれ術中・術後

感染・治癒

リスク・合併症詳細頻度の目安発生時期
術後感染口腔内からの細菌感染。抗生物質で予防・治療。まれ術後1〜2週間
骨の癒合不全骨が正常に癒合しない場合。再手術が必要なことも。非常にまれ術後数週間〜数ヶ月
プレート・スクリューの問題固定材料が感染・露出する場合。除去手術が必要なことも。まれ術後数ヶ月〜数年

咬合・骨格

リスク・合併症詳細頻度の目安発生時期
咬合不正術後に咬み合わせが変化する場合。術後矯正で調整。比較的多い(軽度)術後〜術後矯正期間
再発(後戻り)骨格の変化が再発する場合。術前計画と術後管理が重要。まれ術後数ヶ月〜数年
顎関節症の変化術後に顎関節症の症状が変化する場合。まれ術後〜術後矯正期間

全身・麻酔

リスク・合併症詳細頻度の目安発生時期
麻酔アレルギー麻酔薬に対するアレルギー反応。術前評価で確認。非常にまれ術中
悪性高熱症吸入麻酔薬に対する稀な遺伝性疾患。術前スクリーニングで確認。非常にまれ術中
術後吐き気・嘔吐全身麻酔後によく見られる。制吐剤で対応。比較的多い術後数時間〜1日

※ 頻度の目安は一般的な医学文献に基づく参考値です。「比較的多い」は10%以上、「まれ」は1〜10%、「非常にまれ」は1%未満を目安としています。個々の症例により異なります。

術式別リスクの特徴

Le Fort I 型骨切り術
  • 上唇・歯肉の知覚鈍麻
  • 出血(翼突上顎静脈叢)
  • 骨の癒合不全
  • 再発
SSRO(下顎枝矢状分割術)
  • 下唇・顎の知覚鈍麻(比較的多い)
  • 出血・血腫
  • 骨の癒合不全
  • 顎関節症の変化
IVRO(下顎枝垂直骨切り術)
  • 下唇・顎の知覚鈍麻
  • 顎間固定による制限(4〜6週間)
  • 骨片のずれ
  • 顎関節症の変化
オトガイ形成術
  • 顎先・下唇の知覚鈍麻
  • 骨の癒合不全
  • 非対称
  • 再発

よくある質問

顎変形症の手術で神経障害が残る可能性はありますか?
下顎の骨切り術(SSRO・IVRO)では、下歯槽神経(下唇・顎の感覚を司る神経)が骨切り部位の近くを通るため、術後に一時的な知覚鈍麻(しびれ・感覚の低下)が生じることがあります。多くの場合、数週間〜数ヶ月で回復しますが、稀に永続する場合があります。当院では術前の3D仮想手術計画と超音波骨切削器具(Sonopet iQ)の使用により、神経への侵襲を最小化しています。
術後の腫れはどのくらい続きますか?
術後の腫れは個人差がありますが、一般的に術後1〜2日がピークで、1〜2週間で概ね落ち着きます。完全に落ち着くまでには6ヶ月〜1年かかる場合があります。当院では低侵襲手術技術と術後管理プロトコルにより、腫脹の軽減に努めています。
骨切り手術後に再発することはありますか?
骨格の変化が再発(後戻り)する可能性があります。特に骨格性の問題が大きい場合や、術後矯正が不十分な場合に再発リスクが高まります。当院では術前の精密検査と3D仮想手術計画により、再発リスクを最小化しています。術後の定期的な経過観察も重要です。
全身麻酔のリスクはありますか?
全身麻酔にはアレルギー反応、悪性高熱症、術後の吐き気・嘔吐などのリスクがあります。当院では術前に全身状態の詳細な評価(血液検査、心電図、胸部X線など)を行い、麻酔科との連携のもと安全な麻酔管理を実施しています。また、緊急時には大学病院へのバックアップ体制を整えています。
手術後の感染リスクはありますか?
口腔内から切開する手術のため、術後感染のリスクがあります。当院では術前・術中・術後の抗生物質投与、口腔内の清潔管理、適切な術後ケア指導により感染予防に努めています。感染が疑われる場合は速やかに対応します。

リスクについて詳しく相談する

初診相談は保険診療で行います。リスク・合併症について、専門医が個別の症例に基づいて詳しくご説明します。

TREATMENT INFORMATION

外科矯正のリスク・合併症の治療内容・費用・期間・リスク

骨格的な原因が疑われる場合は、精密検査で顎骨・歯列・咬合を評価し、矯正治療のみか、外科矯正を組み合わせるかを判断します。治療内容は診断結果により異なります。

治療内容

矯正治療、またはルフォーI型骨切り術・SSRO等を含む外科矯正を、症状・骨格・咬合に応じて検討します。

費用・保険適用

顎変形症と診断され、所定の条件を満たす外科矯正は保険診療の対象となる場合があります。自己負担額は治療内容・高額療養費制度の利用状況により異なります。

標準的な治療期間

術前矯正・手術・術後矯正を含む治療では、おおむね1〜3年を要することがあります。骨格や咬合、治療計画により期間は変わります。

主なリスク・副作用

外科矯正では、腫れ、痛み、一時的なしびれ、出血・感染、咬合の調整、全身麻酔に伴うリスク等が生じる可能性があります。詳しくは診察時にご説明します。