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出っ歯(上顎前突)の骨格的原因と治療法

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査読・監修

富田大介

監修医情報

富田大介

日本矯正歯科学会認定医・代議員

参考文献

  • 1. Proffit WR, et al. Contemporary Treatment of Dentofacial Deformity. Mosby. 2003.
  • 2. Jacobson A. The Wits appraisal of jaw disharmony. Am J Orthod. 1975;67(2):125-138.
  • 3. McNamara JA Jr. Components of Class II malocclusion in children 8-10 years of age. Angle Orthod. 1981;51(3):177-202.
  • 4. Baccetti T, et al. Treatment timing for twin-block therapy. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2000;118(2):159-170.

出っ歯(上顎前突)の骨格的原因と外科矯正による治療法を解説します。

その出っ歯、実は骨格が原因かも?セルフチェックで確認

「出っ歯がコンプレックスで、口元を隠して笑ってしまう」「横顔のバランスが気になる」。そんなお悩みをお持ちではありませんか?一般的に「出っ歯」と呼ばれる症状は、専門的には「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」と言います。この上顎前突には、実は原因によって大きく2つのタイプがあることをご存知でしょうか。一つは、前歯が前方に傾いて生えている「歯性」のタイプ。そしてもう一つが、上顎の骨そのものが前方に出ている、あるいは下顎が小さいことによる「骨格性」のタイプです。もし、ご自身の横顔を見たときに、鼻の先端と顎の先端を結んだ「Eライン」から唇が大きくはみ出していたり、笑った時に上の歯茎が広範囲に見える「ガミースマイル」が気になったりする場合、それは「骨格性の出っ歯」が原因かもしれません。歯並びだけでなく、骨格に原因がある場合、見た目の問題だけでなく、噛み合わせの不調や、口が閉じにくいことによる口呼吸、それに伴うドライマウスや歯周病のリスクなど、機能的な問題を引き起こすこともあります。ご自身の出っ歯の原因を正しく理解することが、最適な治療法を見つけるための第一歩となります。

骨格性の出っ歯(上顎前突)とは?主な2つの原因

骨格性の出っ歯、すなわち骨格性の上顎前突は、なぜ起こるのでしょうか。その主な原因は、遺伝的要因が関与しているとされ、大きく分けて2つのパターンがあります。一つ目は「上顎過成長(じょうがくか成長)」です。これは、文字通り上顎骨が標準よりも大きく、前方に成長しすぎている状態を指します。顔全体のバランスに対して上顎が大きいため、口元が前に突き出て見えます。二つ目は「下顎後退症(かがくこうたいしょう)」です。こちらは、上顎の大きさは標準的であるものの、下顎骨が小さい、あるいは全体的に後方に位置しているために、相対的に上顎が前に出て見える状態です。これら骨格的な特徴は、ご両親からの遺伝による影響が大きいと考えられています。正確な診断のためには、歯科医院で頭部X線規格写真(セファログラム)を用いた精密な骨格の分析が不可欠です。この検査により、顎の骨の大きさや位置、角度などを数値で客観的に評価し、骨格的な原因の有無を正確に判断することができます。

歯列矯正だけでは治らない?外科矯正という選択肢

骨格性の出っ歯の場合、一般的な歯列矯正だけで満足のいく結果を得るのは難しい場合があります。なぜなら、歯列矯正はあくまで歯を動かして歯並びを整える治療であり、土台となる顎の骨の位置や大きさを変えることはできないからです。骨格的な問題を抱えたまま無理に歯を動かそうとすると、歯が傾きすぎたり、歯の根が短くなる「歯根吸収」というリスクを高めたり、治療後に元の位置に戻ろうとする「後戻り」が起きやすくなる可能性があります。そこで、骨格性の問題を根本的に解決するための治療法が「外科的矯正治療」、いわゆる「顎変形症(がくへんけいしょう)治療」です。これは、歯列矯正と顎の骨を切る手術(顎骨切り手術)を組み合わせることで、歯並びだけでなく、顔の骨格のバランスや噛み合わせを理想的な状態に整える治療法です。手術と聞くと不安に感じるかもしれませんが、機能的な問題(正しい噛み合わせ)と審美的な問題(美しい顔のバランス)の両方を大きく改善できる、非常に効果的な治療選択肢と言えます。

外科矯正の中心「ルフォーI型骨切り術」とは?

上顎前突の外科矯正で最も一般的に行われる手術が「ルフォーI型骨切り術」です。これは、上顎の骨を水平に切って、一度動かせる状態にする手術です。具体的には、鼻の横あたりから口の中の歯茎の上を切開し、そこから上顎の骨にアプローチします。そして、骨を適切な位置、例えば後方や上方へ移動させた後、チタン製のプレートとネジでしっかりと固定します。これにより、前に出ていた上顎全体を後退させ、顔のバランスを整えることができます。東京・南青山にあるミライズ顎変形症クリニックでは、この手術の際に「Stryker Sonopet iQ」(超音波骨切削器具・国内第一号導入)を使用しています。この器具は、硬い骨だけを精密に切ることができ、周囲の神経や血管といった軟組織を傷つけるリスクを大幅に低減します。さらに、出血量を抑える低血圧麻酔を併用することで、患者様の身体への負担を最小限に抑えた低侵襲な手術を実現しており、これが1泊2日での退院を可能にする理由の一つです。

治療期間を大幅に短縮する「サージェリーファースト」

従来の外科矯正では、まず手術の準備のために1年〜1年半ほどの術前矯正を行い、その後、顎骨切り手術、さらに術後矯正を半年〜1年ほど行うのが一般的で、トータルの治療期間が2〜3年と長くなることが課題でした。しかし近年、「サージェリーファースト」または「アーリーサージェリー」という新しいアプローチが登場し、治療期間を大幅に短縮することが可能になりました。これは、その名の通り「手術を先に行う」治療法です。最初に顎骨切り手術で骨格的な問題を解決し、顔貌の改善を早期に実現した後、噛み合わせを仕上げるための歯列矯正を行います。これにより、全体の治療期間を1年〜1年半程度にまで短縮できます。ミライズ顎変形症クリニックは、このサージェリーファーストに積極的に対応している数少ない専門クリニックの一つです。手術による顔の変化を早く実感できるため、患者様のモチベーション維持にも繋がりやすく、また、同院の実績では63%以上の方が1週間未満で社会復帰を果たしており、多忙な現代人のニーズにも応える治療法と言えるでしょう。

気になる費用は?保険適用と自費診療について

顎変形症の治療は、国が定める特定の診断基準(例えば、ルフォーI型骨切り術と下顎枝矢状分割術を必要とするなど)を満たし、指定された医療機関で治療を受ける場合に限り、健康保険が適用されます。保険適用の場合、手術費用や入院費、矯正治療費を含めた自己負担額の総額は、高額療養費制度を利用することで約50万円から80万円程度になるのが一般的です。ミライズ顎変形症クリニックも2024年7月より保険医療機関として認定されており、保険診療での治療が可能です。一方で、「サージェリーファースト」での治療を希望する場合や、より高い審美性を追求するための追加治療を行う場合などは、自費診療となります。自費診療の場合の費用は、手術内容や麻酔代、諸経費などを含め、約220万円から370万円(税込、矯正費用は別途)が目安となります。ご自身の症状が保険適用になるか、またどの治療法が最適かについては、専門医による正確な診断が必要です。

まとめ:専門医に相談して、あなたに合った治療法を見つけよう

骨格性の出っ歯(上顎前突)は、見た目のコンプレックスだけでなく、噛み合わせなどの機能的な問題にも繋がる可能性があります。歯列矯正だけでは改善が難しい場合でも、外科矯正という選択肢によって、その悩みを根本的に解決できるかもしれません。重要なのは、ご自身の状態を正確に把握し、適切な治療計画を立てることです。そのためには、顎変形症治療に関する深い知識と豊富な経験を持つ専門医への相談が不可欠です。ミライズ顎変形症クリニックには、日本口腔外科学会専門医・指導医であり、数多くの顎骨切り手術を執刀してきた君塚幸子医師が在籍しています。同院では、患者様一人ひとりの骨格や希望に合わせ、保険診療から自費診療、サージェリーファーストまで、最適な治療法を提案しています。まずはカウンセリングで、あなたの悩みや不安を相談してみてはいかがでしょうか。専門家のアドバイスが、新しい一歩を踏み出すきっかけになるはずです。

参考文献

  1. Proffit WR, et al. Surgical-orthodontic treatment of skeletal Class II malocclusion. Int J Adult Orthodon Orthognath Surg. 1992;7(4):211-220.
  2. Reyneke JP, et al. Management of the Class II skeletal discrepancy. Oral Maxillofac Surg Clin North Am. 2007;19(3):359-374.
  3. 日本顎変形症学会. 顎変形症診療ガイドライン. 2008.
  4. Arnett GW, et al. Soft tissue cephalometric analysis: diagnosis and treatment planning of dentofacial deformity. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 1999;116(3):239-253.

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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医学的アドバイスではありません。 治療の適応や詳細については、必ず専門医にご相談ください。 治療期間・費用・リスク・副作用は症例により異なります。

この記事の執筆者

富田 大介

富田 大介(とみた だいすけ)

ミライズウェルメディカルグループ 代表・統括院長 / 矯正歯科医

日本矯正歯科学会認定医・代議員日本顎変形症学会認定医(矯正歯科)

昭和大学歯学部卒業。東京医科歯科大学大学院(現・東京科学大学)咬合機能矯正学分野修了。ミライズウェルメディカルグループ代表・統括院長として外科矯正の矯正歯科側治療計画を専門とし、Surgery First・Early Surgeryの豊富な臨床経験を有する。東京科学大学(旧東京医科歯科大学)でデジタル矯正歯科学の教育にも携わる。口腔外科専門医との23年間に及ぶ連携歴に基づく精密な治療計画の立案と、デジタルワークフローシステムの構築を主導。

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