Surgery First(サージェリーファースト)とは
Surgery First(サージェリーファースト)とは、従来の外科矯正で必要とされていた術前矯正を省略し、治療の最初に顎矯正手術(骨切り手術)を行う治療法です。1997年にNagasaka氏らによって提唱され、その後世界的に普及してきました。下顎枝矢状分割術(SSRO)やLe Fort I型骨切り術(ルフォーI型骨切り術)、下顎枝垂直骨切り術(IVRO)、オトガイ形成術などの骨切り手術を、術前矯正なしに最初に行います。従来の外科矯正では手術前に1〜1.5年の術前矯正が必要でしたが、Surgery Firstではこの期間を省略できるため、総治療期間の大幅な短縮が可能です。
従来法との違い
従来の外科矯正は「術前矯正→手術→術後矯正」の順序で行われ、総治療期間は2.5〜4年に及びます。一方、Surgery Firstは「手術→術後矯正」の順序で進むため、総治療期間は約1〜1.5年に短縮されます。また、術前矯正では一時的に咬合が悪化し顔貌が変化することがありますが、Surgery Firstではこの問題を回避できます。
Surgery Firstのメリット
主なメリットとして、治療期間の大幅な短縮、治療初期での顔貌改善、術前矯正による一時的な咬合悪化の回避、手術後の骨代謝亢進(RAP: Regional Acceleratory Phenomenon)を利用した効率的な歯の移動が挙げられます。患者さんの社会的・心理的負担の軽減にもつながります。
Surgery Firstの適応と注意点
Surgery Firstはすべての顎変形症に適用できるわけではありません。下顎前突(受け口)に対するSSRO、上顎後退に対するLe Fort I型骨切り術(ルフォーI型骨切り術)、顔面非対称に対する上下顎同時移動術(two-jaw surgery)など、適応の判断には骨格の状態、咬合の状態、歯の傾斜角度を総合的に評価する必要があります。術前矯正を行わないため、骨切り手術の計画精度が従来法以上に求められます。3D-CTやデジタルシミュレーションを活用した精密な顎顔面診断が不可欠です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医学的アドバイスではありません。 治療の適応や詳細については、必ず専門医にご相談ください。 治療期間・費用・リスク・副作用は症例により異なります。
