基礎知識

外科矯正と歯列矯正の違い|どちらが必要?

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査読・監修

富田大介

監修医情報

富田大介

日本矯正歯科学会認定医・代議員

参考文献

  • 1. Proffit WR, et al. Surgical versus orthodontic treatment for skeletal Class III malocclusion. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2004;126(3):255-262.
  • 2. Troy BA, et al. Comparison of orthodontic treatment alone versus combined orthodontic-surgical treatment. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2009;135(3):328-336.
  • 3. Cassidy DW, et al. A comparison of surgery and orthodontics in borderline adults with Class II malocclusions. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 1993;104(5):455-470.
  • 4. 日本顎変形症学会. 顎変形症診療ガイドライン. 2023.

外科矯正と通常の歯列矯正の違いについて、適応の判断基準を含めて解説します。

はじめに:その歯並びの悩み、歯だけが原因ですか?

「歯並びをきれいにしたい」と考えたとき、多くの方がまず思い浮かべるのは歯列矯正ではないでしょうか。ガタガタの歯並びや出っ歯、すきっ歯など、口元のコンプレックスは見た目の問題だけでなく、うまく噛めない、話しづらいといった機能的な悩みにも繋がります。しかし、その悩みの原因は、本当に歯の並び方だけにあるのでしょうか。実は、歯を支える顎の骨格そのものに問題が隠れている「顎変形症(がくへんけいしょう)」というケースも少なくありません。この場合、歯を動かすだけの歯列矯正では根本的な解決が難しく、「外科矯正」という手術を伴う治療が必要になります。本記事では、一般的な歯列矯正と、骨格からアプローチする外科矯正の違いを詳しく解説し、どちらの治療があなたにとって最適なのかを考えるヒントを提供します。

歯列矯正とは?歯を動かして理想の歯並びへ

歯列矯正は、矯正装置を使って歯に少しずつ力を加え、時間をかけて動かしていくことで、歯並びや噛み合わせを整える治療法です。歯が重なり合っている「叢生(そうせい)」や、歯と歯の間に隙間がある「すきっ歯」、上の歯が下の歯より大きく前に出ている「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」など、主に歯の位置や傾きが原因で起こる不正咬合(ふせいこうごう)の治療に適しています。治療法には、歯の表面にブラケットという装置を付けてワイヤーで動かすワイヤー矯正や、透明なマウスピースを定期的に交換していくマウスピース矯正など、様々な種類があります。治療期間は症状や治療法によって異なりますが、一般的に1年半から3年ほどです。歯列矯正によって歯並びが整うと、見た目の美しさはもちろん、歯磨きがしやすくなり虫歯や歯周病のリスクを減らせるなど、お口の健康にも繋がります。

外科矯正とは?骨格にアプローチする根本的な治療法

一方、外科矯正は、歯並びの問題が顎の骨格のズレや大きさの不調和に起因する「顎変形症」の場合に行われる治療法です。歯列矯正が歯を動かす治療であるのに対し、外科矯正は全身麻酔下での手術によって上顎や下顎の骨を切り、正しい位置に移動させて固定します。これにより、顔の歪み、受け口(下顎前突)、極端な出っ歯(上顎前突)、開咬(かいこう:奥歯で噛んでも前歯が閉じない状態)といった骨格性の問題を根本から解決します。手術と聞くと不安に思われるかもしれませんが、例えば東京・南青山にあるミライズ顎変形症クリニックでは、Stryker Sonopet iQの使用や低血圧麻酔といった先進技術を導入し、出血量を最小限に抑えた低侵襲手術を実践しています。手術後は、移動した顎の位置に合わせて歯並びを最終調整するための術後矯正を行います。骨格と噛み合わせの両方を理想的な状態に導く、それが外科矯正です。

【徹底比較】外科矯正と歯列矯正、5つの違い

では、外科矯正と歯列矯正の具体的な違いを5つのポイントで比較してみましょう。第一に「治療対象」です。歯列矯正は歯の傾きや位置が対象ですが、外科矯正は顎の骨そのものが対象です。第二に「治療方法」。矯正装置のみで治療するのが歯列矯正、顎の骨切り手術と矯正治療を組み合わせるのが外科矯正です。第三に「治療期間」。一般的な歯列矯正は2〜3年かかることが多いですが、外科矯正では手術で骨格を先に治す「サージェリーファースト」というアプローチにより、全体の治療期間を1年〜1年半程度に短縮できる場合があります。第四に「費用と保険適用」。歯列矯正は基本的に自費診療ですが、顎変形症と診断された外科矯正は健康保険が適用されます。ミライズクリニックの場合、保険適用で約50〜80万円、より審美性や機能性を追求する自費診療では約220〜370万円が目安です。最後に「顔貌の変化」。歯列矯正でも口元の印象は変わりますが、外科矯正は骨格から動かすため、フェイスラインや顔のバランスが大きく改善されるという大きな特徴があります。

費用と保険適用 - 知っておきたいお金の話

治療を選択する上で、費用は重要な要素です。一般的な歯列矯正は、審美目的と見なされることが多く、基本的に健康保険が適用されない自費診療となります。一方、顎変形症と診断された外科矯正は、機能的な問題を解決するための「治療」と位置づけられ、健康保険が適用されます。例えば、ミライズ顎変形症クリニックでは、保険適用の場合の自己負担額は約50〜80万円が目安です。ただし、より高度な技術や審美性を追求する治療(例:サージェリーファースト、骨格シミュレーション)を希望する場合は、自費診療となり、費用は約220〜370万円(税込)となります。自費診療には、矯正費用は含まれませんが、手術や麻酔、入院に関する費用が全て含まれています。ご自身の希望や予算に合わせて、最適なプランを選択することが可能です。

あなたはどっち?専門医への相談が第一歩

「自分の場合はどちらだろう?」と迷われる方も多いでしょう。鏡を見て、顎が左右にずれている、下顎が極端に前に出ている、口を閉じても唇が自然に閉じない、などの特徴があれば、骨格性の問題が隠れているかもしれません。しかし、これらはあくまで目安であり、自己判断は禁物です。正確な診断には、レントゲン撮影や歯型の採取、顔貌の写真撮影といった精密検査が不可欠です。顎変形症の治療は、矯正歯科と口腔外科の専門家が連携して行うため、まずはどちらかの専門医に相談することが重要です。特に、外科矯正を視野に入れる場合は、顎変形症の治療経験が豊富なクリニックを選ぶことが、納得のいく結果への近道となります。専門医によるカウンセリングで、ご自身の状態を正確に把握し、最適な治療計画について話し合いましょう。

新しい選択肢「サージェリーファースト」とは?

従来の外科矯正は、手術の前に1年〜1年半ほどの術前矯正を行い、歯並びをある程度整えてから手術に臨むのが一般的でした。しかしこの方法では、一時的に噛み合わせが悪化したり、治療期間が長引くというデメリットがありました。そこで近年注目されているのが「サージェリーファースト」や「アーリーサージェリー」という考え方です。これは、最初に手術を行い、骨格の問題を早期に解決してから術後矯正に入るアプローチです。ミライズ顎変形症クリニックは、この新しい治療法に積極的に対応しており、患者様の身体的・精神的負担の軽減と、治療期間の大幅な短縮を実現しています。手術で顔貌のコンプレックスが早期に解消されるため、治療へのモチベーション維持にも繋がります。同クリニックでは1泊2日の入院で翌日には歩行退院が可能で、多くの患者様が1週間未満で社会復帰を果たしているのも、低侵襲手術ならではの大きなメリットと言えるでしょう。

まとめ:顎変形症の悩みは専門クリニックで解決へ

歯列矯正と外科矯正は、どちらも美しい歯並びと正しい噛み合わせを実現するための治療ですが、そのアプローチは大きく異なります。歯の傾きや位置が問題であれば歯列矯正、顎の骨格そのものに原因がある場合は外科矯正が適応となります。特に、受け口や顔の歪みといった骨格性の問題は、外科矯正でなければ根本的な解決は望めません。もしあなたがご自身の横顔や顔のバランスに長年悩んでいるなら、それは顎変形症が原因かもしれません。ミライズ顎変形症クリニックのように、顎変形症の治療に特化し、サージェリーファーストなどの先進的な治療法から保険適用・自費診療まで幅広く対応している専門クリニックに相談することで、長年の悩みから解放される道が開けるはずです。まずは一歩踏み出し、専門医のカウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。

参考文献

  1. Proffit WR, et al. Surgical versus orthodontic correction of skeletal Class III malocclusion in adults. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2000;117(5):541-550.
  2. Cassidy DW, et al. A comparison of surgery and orthodontics in "borderline" adults with Class II, division 1 malocclusions. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 1993;104(5):455-470.
  3. 日本顎変形症学会. 顎変形症診療ガイドライン. 2023.
  4. Kuroda S, et al. Orthodontic treatment of severe open bite with miniscrew anchorage: A comparison with orthognathic surgery. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2007;132(5):599-605.

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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医学的アドバイスではありません。 治療の適応や詳細については、必ず専門医にご相談ください。 治療期間・費用・リスク・副作用は症例により異なります。

この記事の執筆者

富田 大介

富田 大介(とみた だいすけ)

ミライズウェルメディカルグループ 代表・統括院長 / 矯正歯科医

日本矯正歯科学会認定医・代議員日本顎変形症学会認定医(矯正歯科)

昭和大学歯学部卒業。東京医科歯科大学大学院(現・東京科学大学)咬合機能矯正学分野修了。ミライズウェルメディカルグループ代表・統括院長として外科矯正の矯正歯科側治療計画を専門とし、Surgery First・Early Surgeryの豊富な臨床経験を有する。東京科学大学(旧東京医科歯科大学)でデジタル矯正歯科学の教育にも携わる。口腔外科専門医との23年間に及ぶ連携歴に基づく精密な治療計画の立案と、デジタルワークフローシステムの構築を主導。

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