Early Surgery(早期手術)とは?
Early Surgery 矯正とは、顎変形症治療において、外科手術を先行させる「Surgery First」と、長期間の術前矯正を行う「従来法」の中間に位置する治療アプローチです。具体的には、数ヶ月程度の短期間の術前矯正を行った後、早期に骨切り術などの外科矯正を実施します。これにより、患者様の負担となる術前矯正期間を短縮しつつ、手術の安全性と術後の安定性を確保することが可能となります。
顎変形症の治療において、機能的な咬合(噛み合わせ)の獲得は最も重要な目標の一つです。Early Surgeryは、早期に骨格的な不調和を改善することで、軟組織の適応を促し、その後の術後矯正をスムーズに進める効果が期待されています。
従来法・Surgery Firstとの違い
顎変形症の外科矯正アプローチには、主に「従来法」「Surgery First」「Early Surgery」の3つがあります。それぞれの特徴を比較してみましょう。
| 治療法 | 術前矯正期間 | 手術のタイミング | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| 従来法 | 1〜2年程度 | 術前矯正完了後 | 術後の咬合が安定しやすい | 治療期間が長く、一時的に顔貌や噛み合わせが悪化する |
| Surgery First | なし | 治療開始直後 | 早期に顔貌が改善し、全体の治療期間が短い | 術後の咬合が不安定になりやすく、適応症例が限られる |
| Early Surgery | 数ヶ月程度 | 短期間の術前矯正後 | 術前矯正短縮と術後安定性のバランスが良い | 従来法よりは術後の咬合調整に技術を要する |
Early Surgeryは、Surgery Firstの「早期の顔貌改善」というメリットを活かしつつ、従来法の「術後の安定性」を担保するための、非常にバランスの取れた治療法と言えます。
Early Surgeryのメリットとデメリット
メリット
- 術前矯正期間の短縮:従来の1〜2年かかる術前矯正を数ヶ月に短縮できるため、患者様の精神的・肉体的な負担が大幅に軽減されます。
- 早期の顔貌改善:治療開始から比較的早い段階で外科手術(骨切り術)を行うため、顔の歪みや輪郭の悩みが早期に解消されます。
- RAP現象の活用:手術による骨の治癒過程で起こるRAP(Regional Acceleratory Phenomenon:局所促進現象)を利用することで、術後の歯の移動が早まり、全体の治療期間短縮に繋がります。
デメリット(リスク・副作用)
- 適応症例の制限:すべての顎変形症患者様に適用できるわけではありません。術前の歯の叢生(ガタつき)が強すぎる場合などは、従来法が適していることがあります。
- 術後の咬合不安定性:Surgery Firstほどではありませんが、従来法と比較すると術直後の噛み合わせが不安定になるリスクがあります。そのため、高度な技術を持つ矯正歯科医による術後矯正が不可欠です。
ミライズ顎変形症クリニックのEarly Surgery
ミライズ顎変形症クリニックでは、患者様第一の視点に立ち、機能的な咬合の確立と審美的な改善を両立させる治療を提供しています。当院は、矯正歯科と口腔外科の両方で日本顎変形症学会認定医を擁する全国唯一の民間施設です。
当院の統括院長である富田大介は、東京都の民間クリニックで唯一の日本顎変形症学会認定医(矯正歯科)であり、名誉顧問・医学博士の大村進、そして日本口腔外科学会認定医・指導医である君塚幸子と緊密に連携し、高度なチーム医療を実践しています。
【ミライズ独自データ】
- 年間症例数:143例の豊富な実績
- 早期社会復帰:63%以上の患者様が手術から1週間未満で社会復帰を実現
- 高い患者満足度:術後アンケートにて8.9/10の高評価
- 安全性:重篤な合併症発生率0件を維持
これらの実績は、術前シミュレーションの徹底と、各専門医の高度な技術、そしてEarly Surgeryを含む最適な治療計画の立案によって支えられています。
Early Surgeryの適応基準
Early Surgeryを安全かつ効果的に行うためには、厳格な適応基準に基づく判断が必要です。主な判断基準は以下の通りです。
- 歯の叢生(ガタつき)の程度:軽度から中等度の叢生であれば、短期間の術前矯正で手術可能な状態に整えることができます。
- 抜歯の必要性:小臼歯などの抜歯が必要な場合、抜歯スペースの閉鎖に時間がかかるため、Early Surgeryの適応外となるか、術前矯正期間がやや長くなる傾向があります。
- 術後の咬合安定性の予測:3Dシミュレーションソフトを用いて、手術直後に最低限の咬合接触(3点支持など)が得られるかを評価します。
- 顎関節の状態:顎関節症の症状が強い場合や、関節突起の吸収が見られる場合は、慎重な判断が求められます。
治療の流れと期間
Early Surgeryを選択した場合の一般的な治療の流れは以下のようになります。
- 精密検査・診断:CT、セファロ、口腔内スキャンなどを用いて詳細なデータを取得し、治療計画を立案します。
- 術前矯正(数ヶ月):手術の障害となる歯の干渉を取り除き、術後の咬合を安定させるための最低限の歯の移動を行います。
- 外科手術(骨切り術):全身麻酔下で顎骨の移動を行います。
- 術後矯正(半年〜1年程度):手術によって得られた新しい骨格に合わせて、最終的な噛み合わせを緊密に仕上げていきます。
- 保定:後戻りを防ぐため、リテーナー(保定装置)を使用します。
全体の治療期間は、従来法と比較して半年から1年程度短縮されるケースが多く見られます。
著者バイライン
- 著者:富田大介(ミライズ顎変形症クリニック 統括院長・日本顎変形症学会認定医)
- 監修・査読:君塚幸子(日本口腔外科学会認定医・指導医)
- 公開日:2026年6月4日
- 更新日:2026年6月4日
参考文献
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関連FAQ
Q1. Early Surgeryは誰でも受けられますか? A1. すべての方に適応できるわけではありません。歯のガタつき(叢生)が強い場合や、抜歯が必要なケースなどでは、従来の術前矯正が必要になることがあります。精密検査を行い、患者様に最適な治療法をご提案いたします。
Q2. 手術後の痛みや腫れはどのくらい続きますか? A2. 手術後2〜3日が腫れのピークとなり、その後徐々に引いていきます。痛みについては、痛み止めを処方いたしますのでコントロール可能です。当院では、63%以上の患者様が手術から1週間未満で社会復帰されています。
Q3. 治療期間はどのくらい短縮されますか? A3. 患者様の状態によって異なりますが、従来の治療法と比較して、全体の治療期間が半年から1年程度短縮されるケースが多く見られます。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医学的アドバイスではありません。 治療の適応や詳細については、必ず専門医にご相談ください。 治療期間・費用・リスク・副作用は症例により異なります。


