治療法

3Dシミュレーションによる術後予測

治療法約8分で読めます

査読・監修

富田大介

監修医情報

富田大介

日本矯正歯科学会認定医・代議員

参考文献

  • 1. Swennen GR, et al. 3D treatment planning of orthognathic surgery. J Oral Maxillofac Surg. 2009;67(10):2080-2092.
  • 2. Plooij JM, et al. Digital 3D image fusion for orthognathic surgery. J Oral Maxillofac Surg. 2011;69(1):e175-e187.
  • 3. Olejnik A, et al. The accuracy of three-dimensional soft tissue simulation in orthognathic surgery: a systematic review. J Clin Med. 2024;13(11):3192.
  • 4. Alkhayer A, et al. Accuracy of virtual planning in orthognathic surgery: a systematic review. Head Face Med. 2020;16(1):34.
  • 5. Chang YJ, et al. Accuracy assessment of computer-aided three-dimensional simulation and navigation in orthognathic surgery. J Formos Med Assoc. 2020;119(1):153-161.

3Dシミュレーション技術を用いた術後の顔貌予測について解説します。

はじめに:顎変形症手術における術後予測の重要性

顎変形症の手術は、噛み合わせや発音といった機能的な問題を解決するだけでなく、顔の印象を大きく変える可能性のある治療です。下顎や上顎の骨を切って移動させる「骨切り手術」は、まさに顔の土台を再構築する大掛かりなもの。だからこそ、多くの患者様が「手術で自分の顔はどう変わるのだろう?」という期待と同時に、大きな不安を抱えています。この不安を解消し、患者様が安心して治療に臨むために不可欠なのが、精度の高い「術後予測」です。ミライズ顎変形症クリニックでは、最新のデジタル技術である3Dシミュレーションを駆使し、手術後の顔貌の変化を具体的に可視化。これにより、医師と患者様が治療ゴールを明確に共有し、納得のいく結果を目指すことが可能になります。

従来の予測法(2D)の限界と3Dシミュレーションの登場

かつて顎変形症の術後予測は、セファログラムと呼ばれる頭部のレントゲン写真を用いた2次元(2D)での分析が主流でした。これは、横顔の骨格の変化を予測するには有効でしたが、人間の顔は立体的な構造物です。特に、顔の左右の歪み(顔面非対称)や、骨の移動に伴う皮膚・脂肪といった軟組織の変化を2Dで正確に再現するには限界がありました。しかし、近年のデジタル技術の進歩により、CTスキャンで得られたデータを元に顔の構造を3次元(3D)で再構築する3Dシミュレーションが登場。これにより、骨格はもちろん、軟組織の変化まで含めた、より現実に近い術後予測が可能となったのです。この技術革新は、外科矯正治療の精度と安全性を大幅に向上させました。

【解説】3Dシミュレーションはどのように行われるのか?

では、実際に3Dシミュレーションはどのように進められるのでしょうか。まず、CTスキャンを撮影し、患者様の顎の骨や歯、顔の軟組織の精密な3次元データを取得します。次に、専用のソフトウェア上でこれらのデータを統合し、コンピューター上に患者様の顔を忠実に再現した3Dモデルを構築します。そして、この3Dモデル上で、専門の医師が骨をどの方向に何ミリ移動させるか、といった具体的な手術計画を立案します。シミュレーション上では、骨の動きに連動して皮膚や筋肉などの軟組織がどのように変化するかも計算されるため、術後の顔貌をあらゆる角度からリアルに確認することができます。このプロセスにより、従来の方法では難しかった立体的な変化の予測が可能となり、より精緻な治療計画が立てられるのです。

ミリ単位の精度を追求:3Dシミュレーションがもたらす手術の安全性

3Dシミュレーションの最大の利点の一つは、手術計画の精度が格段に向上することです。コンピューター上で、骨を動かす位置や角度を0.1ミリ単位で調整し、最適な噛み合わせと顔のバランスを追求できます。さらに、下顎骨の中には下歯槽神経という太い神経が通っており、これを傷つけると唇の麻痺などが残るリスクがあります。3Dシミュレーションでは、この神経の走行位置も立体的に正確に把握できるため、神経損傷のリスクを最小限に抑えた安全な骨切りラインを設定することが可能です。東京・南青山にあるミライズ顎変形症クリニックでは、この精密な3Dシミュレーション計画に加え、神経や血管へのダメージが少ない超音波骨切削器具を用いることで、出血量を抑え、より安全性の高い骨切り手術を実践しています。

「自分の未来の顔が見える」術後イメージの共有がもたらす安心感

顎変形症の治療は、患者様ご自身の「こうなりたい」というイメージと、医学的に可能かつ理想的なゴールをすり合わせる共同作業です。3Dシミュレーションを用いれば、術後のご自身の顔貌の変化を、手術を受ける前に具体的に目で見て確認することができます。これは、患者様にとって大きな安心材料となります。医師から「このように変わります」と口頭で説明されるだけでなく、リアルな3D画像を見ることで、治療に対する理解が深まり、漠然とした不安が「新しい自分への期待」へと変わっていくのです。ミライズ顎変形症クリニックでは、このシミュレーション画像を患者様と共有し、対話を重ねることを重視しています。これにより、医師と患者様の認識のズレを防ぎ、インフォームドコンセント(十分な説明と同意)の質を高め、共に納得のいくゴールを目指します。

ミライズのこだわり:Surgery Firstを支える先進的なデジタル技術

ミライズ顎変形症クリニックが対応している「サージェリーファースト(Surgery First)」は、従来必須とされていた手術前の矯正治療期間を大幅に短縮、あるいは省略する先進的な治療法です。これにより、患者様はより早く機能的・審美的な改善を実感でき、治療期間全体の短縮につながります。しかし、このサージェリーファーストを成功させるには、手術の段階で極めて精度の高い骨の移動と固定が求められます。術前矯正を行わない分、手術計画の正確性が治療結果を大きく左右するからです。当クリニックでは、まさにこのサージェリーファーストの精度と安全性を担保するために、3Dシミュレーションを不可欠なツールとして活用しています。精密な術前計画が、1泊2日での退院や早期の社会復帰といった低侵襲手術を支える基盤となっているのです。

気になる費用は?3Dシミュレーションと保険適用について

顎変形症の治療は、国が定める特定の診断基準を満たせば、外科矯正治療として健康保険が適用されます。ミライズ顎変形症クリニックは保険医療機関に認定されているため、保険診療での治療が可能です。保険適用の場合、高額療養費制度を利用することで、自己負担額は約50〜80万円程度になることが一般的です。一方、サージェリーファーストなど、より審美的な要求に応えるための治療や、最新の技術を応用した治療は自費診療となる場合もあります。自費の場合の費用は約220〜370万円(税込)が目安です。3Dシミュレーションを用いた精密な診断や計画は、これらの治療の質を保証する上で重要な役割を果たしており、費用は全体の治療費に含まれています。ご自身の症状が保険適用になるかなど、詳細についてはカウンセリング時にご相談ください。

まとめ:納得のいく治療のために、3Dシミュレーションを活用するクリニックを選ぼう

3Dシミュレーションによる術後予測は、現代の顎変形症治療において、もはや特別なものではなく、質の高い治療を提供する上でスタンダードとなりつつある技術です。手術の精度と安全性を高めるだけでなく、患者様が抱える不安を和らげ、納得して治療に臨むための強力なサポートツールでもあります。これから外科矯正を検討される方は、こうした先進的なデジタル技術を適切に活用し、患者様との対話を重視してくれるクリニックを選ぶことが、後悔のない治療への第一歩と言えるでしょう。ミライズ顎変形症クリニックでは、日本口腔外科学会専門医・指導医である君塚幸子医師をはじめとする経験豊富なチームが、3Dシミュレーションを駆使して、一人ひとりの患者様に最適な治療計画をご提案します。

参考文献

  1. Olejnik A, et al. The accuracy of three-dimensional soft tissue simulation in orthognathic surgery—a systematic review. J Clin Med. 2024;13(11):3192.
  2. Alkhayer A, et al. Accuracy of virtual planning in orthognathic surgery: a systematic review. Head Face Med. 2020;16(1):34.
  3. Kwon TG, et al. Considerations for virtual surgical planning and simulation in orthognathic surgery—a narrative review. Front Oral Maxillofac Med. 2020;2:27.
  4. Chang YJ, et al. Accuracy assessment of computer-aided three-dimensional simulation and navigation in orthognathic surgery (CASNOS). J Formos Med Assoc. 2020;119(1):153-161.
  5. Chen CYH, et al. Accuracy of 3D simulation in soft tissue change after orthognathic surgery in class III malocclusion: Influence of different vertical facial patterns. J Craniomaxillofac Surg. 2025;53(2):101-108.

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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医学的アドバイスではありません。 治療の適応や詳細については、必ず専門医にご相談ください。 治療期間・費用・リスク・副作用は症例により異なります。

この記事の執筆者

富田 大介

富田 大介(とみた だいすけ)

ミライズウェルメディカルグループ 代表・統括院長 / 矯正歯科医

日本矯正歯科学会認定医・代議員日本顎変形症学会認定医(矯正歯科)

昭和大学歯学部卒業。東京医科歯科大学大学院(現・東京科学大学)咬合機能矯正学分野修了。ミライズウェルメディカルグループ代表・統括院長として外科矯正の矯正歯科側治療計画を専門とし、Surgery First・Early Surgeryの豊富な臨床経験を有する。東京科学大学(旧東京医科歯科大学)でデジタル矯正歯科学の教育にも携わる。口腔外科専門医との23年間に及ぶ連携歴に基づく精密な治療計画の立案と、デジタルワークフローシステムの構築を主導。

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